街路樹が色づき、肌寒さを感じる季節になりました。 コートやニットなどファッションを秋冬仕様に衣替えするように、「香り」も着替えていますか?
普段は爽やかなシトラス系や、清潔感のあるサボン(石鹸)系を愛用しているという男性も多いでしょう。もちろんそれらは好感度の高い香りですが、もしあなたがこの冬、ワンランク上の「大人の色気」や「包容力」を演出したいなら、選ぶべきは「ショコラ(チョコレート)」のニュアンスを持つ香水です。
「男がチョコレートの香り? 甘すぎるのでは?」
そう思った方にこそ、ぜひ知っていただきたい世界があります。 今、メンズフレグランスのトレンドとして、カカオやバニラなどのお菓子のような甘さを持つ「グルマンノート」が注目を集めています。といっても、ただ甘ったるいわけではありません。
ビターなカカオに、スパイシーな胡椒、あるいは芳醇なリキュール(お酒)やタバコ葉の香りを重ねたその香りは、「甘いのに、男らしい」という絶妙なバランス。
クールな見た目の男性から、ふわりと漂う温かみのあるビター・スイートな香り。その意外な「ギャップ」は、すれ違う人をハッとさせ、深く記憶に残る魅力を放ちます。
本記事では、現行品として手に入る香水の中から、大人の男性にこそ相応し「ショコラ系メンズフレグランス」を厳選してご紹介します。この冬は甘くほろ苦い香りを味方につけて、いつもと違う自分を演出してみませんか。
大人の魅力を底上げする「ショコラ系」香水4選
数あるメンズフレグランスの中から、現在日本国内で入手可能な現行品を厳選。 「王道」「紳士」「ラグジュアリー」「手軽」の4つの切り口で、それぞれの魅力を紹介します。
【王道の色気】視覚と嗅覚で魅了する「甘辛ミックス」
キャロライナ ヘレラ バッドボーイ EDT
稲妻(ライトニングボルト)を模したボトルデザインが強烈なインパクトを放つ一本。その名の通り、「バッドボーイ(ちょいワル)」な二面性を表現しています。
つけ始めはブラックペッパーのスパイスが効いていますが、次第に濃厚なカカオとトンカビーンの甘さが顔を出します。スパイスの鋭さとカカオの温かさが同居する香りは、まさに予測不能な男性の魅力そのもの。 レザージャケットやモードな服装に合わせれば、夜のデートシーンで圧倒的な存在感を発揮してくれるでしょう。
【紳士の品格】スーツに似合う、最高級のビターチョコ
ゲラン ランスタン ド ゲラン プール オム EDP
「甘い香水は子供っぽい」という先入観をお持ちの方にこそ試してほしいのが、香水の老舗ゲランが誇るこの名香です。
ミルクチョコレートのような甘ったるさは一切ありません。ここで表現されているのは、カカオの苦味さえ感じる「極上のダークチョコレート」。そこにパチュリ(墨のような深みのある香木)やスターアニスが重なり、非常に知知的で落ち着いた印象を与えます。 秋冬の冷たい空気の中で、ウールのコートやスーツの襟元からふわりとこの香りが漂えば、大人の余裕と信頼感を演出できるはずです。 ※よりカカオ感を楽しみたい方は、トワレではなく「オーデパルファン」を選ぶのがポイントです。
【至高の個性】ラム酒とチョコが溶け合う「危険な香り」
キリアン パリス ブラック ファントム メメント モリ EDP
「メメント・モリ(死を想え)」という哲学的なサブタイトルを持つ、ニッチフレグランス界の傑作。海賊船をイメージしたこの香りは、一度嗅いだら忘れられないほどドラマティックです。
トップから芳醇なラム酒の香りが広がり、そこへダークチョコレート、コーヒー、キャラメルがとろけるように絡み合います。お酒とスイーツに酔いしれるような、背徳的でミステリアスな甘さ。 誰とも被りたくない、唯一無二の世界観をまといたい上級者のための香りです。持続性も非常に高く、朝のワンプッシュで夜まで甘いオーラが続きます。
【番外編】1,000円以下で試せる「塗るチョコレート」
AXE(アックス) フレグランス ボディスプレー ダークテンプテーション
「いきなり高級な香水を買うのは勇気がいる」「まずは甘い香りが自分に似合うか試してみたい」。そんな方への最適解がこちらです。
明確に「ダークチョコレートの香り」をテーマにしており、シュッとひと吹きするだけで、ホットチョコレートのような温もりのある甘さに包まれます。香水ほど強く香らないボディスプレータイプなので、ジム終わりや休日のリラックスタイム、あるいは寝る前の「寝香水」としても優秀。 ドラッグストアで手に入る手軽さでありながら、その香りの完成度は侮れません。
甘い香りを味方につける、大人の「まとい方」
ショコラ系などのグルマン香水は、一般的なシトラス系香水に比べて香りの持続性が高く、濃厚に広がりやすい特徴があります。 「いい香り」を「キツイ」と思わせないために、大人の男性が守るべき鉄則が3つあります。
「下半身」にまとうのが正解
香りは体温で温められ、下から上へと立ち上る性質があります。 甘い香りを鼻に近い首筋や胸元につけると、自分自身が香りに酔ってしまったり、相手に圧迫感を与えてしまったりすることも。 おすすめは「ウエスト(腰)」や「足首」「膝の裏」。すれ違いざまや、椅子に座った時にふわりとほのかに香る程度が、最も上品でセクシーです。
「ワンプッシュ」から始める
「少し足りないかな?」と思うくらいが適量です。特に海外ブランドの香水は濃度が高いものが多いため、まずはウエストにワンプッシュだけで十分。 物足りない場合は、空中に一度プッシュして、その霧の下をくぐる(香りのシャワーを浴びる)付け方もおすすめです。
TPOをわきまえる
甘い香りは、温度や湿度が高いと重たく感じられます。
- 避けるべきシーン: 汗ばむような暖房の効きすぎた満員電車、夏の日中、堅いビジネスの商談、食事の味を邪魔するような狭い個室での会食。
- 最高のシーン: 木枯らしの吹く屋外デート、天井の高いラウンジやバー、そしてリラックスしたい自宅の時間。 これからの寒くなる季節こそ、甘い香水の本領発揮です。
香りは「見えないファッション」
いつものスーツ、いつものコート。そこに「チョコレートのような香り」をひとさじ加えるだけで、あなたの印象はガラリと変わります。
「意外と甘いものが好きなんですか?」 「なんだか今日は雰囲気が違いますね」
そんな会話のきっかけにもなるでしょう。 見た目はクールに、香りはスイートに。その「計算されたギャップ」こそが、大人の男性に許された特権です。
この冬は、お気に入りのショコラ系フレグランスをポケットに忍ばせて、甘くほろ苦い大人の魅力を演出してみてはいかがでしょうか。

